突然ですが、皆さん、ねじりん棒って一体なんだと思いますか?
いいえ、あしたのジョーが少年鑑別所でマンモス西に無理やり咥えさせられた雑巾の事ではありません。(言ってないか)
もったいぶるつもりは更々ありませんが、答えを明かすにはちょっと手間が掛ります。まず舞台の構造から説明しないと、多分「ねじりん棒の真実」(大袈裟な!)を理解してもらえないと思うからです。
舞台には上の方に長い鉄の棒(昔の芝居小屋などは竹)が何本も吊ってあります。これはバトンと呼ばれる物で、照明や大道具などを吊り下げたりする為の物です。
バトンは手動及び電動で上下させる事が出来ます。
手動の場合、舞台の奥に「綱元」と呼ばれる、バトンを上げ下げさせる為のロープがあります。ロープはループ状に張られており、手前を引っ張るとバトンが下がり、奥を引っ張ると上がります。このロープを引き、適当な高さにバトンを調整し、ロープに付いているストッパーをしっかり締めバトンを固定させる、と言う仕組みになっています。
さて、当たり前ですが、一般的に大道具と言う物は大きい道具の事を言います。大きい道具と言う物はこれまた当たり前ですが、普通重く出来ています。そしてその重い道具をバトンに吊り下げるとなると、上げ下げする作業は非常に大仕事となってくる訳です。
そこで、上げ下げが楽に出来るように綱元には「シズ」と呼ばれる重りが用意されています。そのシズを大道具と同じ重さだけ綱元のロープに装着しバランスを取り、上げ下げが楽に出来る様にします。
さてさて、問題はここからです。舞台が終了すれば一生懸命汗水たらし、理不尽な親方に怒鳴られ鞭打たれ(嘘です、蝋燭を使う事はありますが、鞭は使いません)折角仕込んだ大道具を全てバラさなければいけません。
となれば、バトンに吊り下げた重~い大道具も、当然外す事になる訳です。
でもちょっと待ってください。いきなりバトンから重い道具を外してしまったら、綱元は一体どうなってしまうでしょう?大道具と同じ重さのシズが綱元のロープに乗っている訳ですから、うっかりストッパーを緩めよう物なら、当然ものすごい勢いでシズが下りて来て、まかり間違えば怪我だけでは済まない事になってしまいます。
そこで登場するのが「ねじりん棒」です。ねじりん棒と言っても、あしたのジョーが少年鑑別所でマンモス西に無理やり咥えさせられた雑巾(こっちが気になる人はマンガを読んでください)ではなく、正体はただの長さ5、60センチ位の角材なんですが、この棒を綱元のロープに差し込み、グリグリと数回ねじり、端っこを綱元の支柱に引っ掛けておく訳です。
すると、ロープはねじられた摩擦で動かなくなり、万が一うっかりストッパーを緩めてもシズが落ちて来る事はありません。
また、舞台では様々な人が慌しく動き、誰が何を触るか全く予測できないので、ねじりん棒を差し込んでおけば、一目でまだバランスを取っていない事が分かり、事故を未然に防ぐ事もできます。
どうです?分かっていただけましたか、ねじりん棒って奥が深いでしょう?
と言う訳で、何やら背後で親方が「蝋燭も使わないぞ」と怒っているので、今回はこれ位にしておきたいと思います。

